“何も起きていない”と片付けられた私の不安。
だけどそれは、ただの前置きに過ぎなかった。
あの夜、カメラが“すべて”を記録していたのだから。
その夜も眠れなかった私は、何度もスマホでカメラの映像を確認していた。
録画履歴に、見慣れない“赤いマーク”がついていた。
「動体検知:AM 3:14」
私は震える指で、再生ボタンを押した。
最初は、ただの暗いリビング。
何も起きていないように見えた。
…でも、画面の左下。
カーテンの隙間から、何かがのぞいていた。
私は一時停止を押し、スマホをぐっと引き寄せた。
目をこらして見ると、そこには――
人の“目”のようなものが、静かにこちらを見ていた。