その日から、私は笑うたびに自分の存在を押し殺すようになった。
そしてある日、私はとんでもないものを見つけてしまった。
“私と同じように、夫の料理を見て傷ついた誰か”の言葉を。
それは、偶然だった。
眠れない夜、枕元でスマホをなんとなく眺めていたとき、
料理関連の掲示板でひとつのスレッドが目に入った。
【旦那が料理上手すぎて、正直つらい人いない?】
そこには、私と同じような想いを抱える人たちの言葉が並んでいた。
「全部旦那がやっちゃうから、自分の居場所がない」
「“羨ましい”って言われ続けるの、もう疲れた」
「うちは旦那が料理インフルエンサー。私は“何してる人?”って聞かれる」
私は震える指でスクロールしながら、何度も頷いた。
この“惨めさ”を感じてるのは、私だけじゃないんだ。
誰にも言えなかった気持ちが、画面の向こうで共鳴しているようで、
ほんの少しだけ、涙がこぼれそうになった。