だが、それはすべて母と私の“計算通り”。
そしてついに証拠が揃いはじめた。
母が動いたその日、Aは“言い訳すらできない女”に変わった。
それは突然のことだった。
料亭の応接間に呼び出されたAは、母と私を前に、少しだけ身構える様子を見せた。
「何か、問題でも?」
Aの声は笑っていた。でも、その目は、もう笑っていなかった。
私は無言で、封筒を机の上に置いた。
そして、目をそらさずに言った。
その瞬間、Aの指先がピクリと震えた。
中身を予感しているような動きだった。
彼女はゆっくりと封を開ける。
中に入っていたのは監視カメラの静止画と、帳簿のコピーだった。