愛人Aは、まだ抵抗を続けていた。
LINEの裏アカウントで“潰す”と書かれたメッセージ。
それを告げたのは、Aの部下・遥。
これで証拠は完全にそろった。
あとは、直接問い詰めるだけだった。

「今日は、少しだけお話があります」

私はそう言って、Aを応接間に招いた。
母の姿はなかった。今回は、私ひとりでやると決めていた。

Aは最初、いつものように微笑んでいた。
「なんだか、改まって怖いわね」と冗談めかして。

けれど、私は笑わなかった。
テーブルにスマホを置き、録音ボタンを押した。
Aの表情が、ピクリと動いた。



その一言で、空気が変わった。