背後から聞こえた「お前、裏切ったのか?」という男の声。
姿はなかったが、確かに誰かに“見られている”感覚が残っていた。
私はずっと、Aたちを“監視していた”つもりだった。
でも監視されていたのは、私の方だったのかもしれない。

私は、いつものように監視カメラの映像を確認していた。
Aの動きやスタッフの様子、何か新しい変化がないかを確かめるためだった。

その時だった。


とある映像の一部に、私が映っていた。
しかも、それは「私が映るはずのない角度」だった。

違和感を覚えて、保存フォルダを確認すると、“私の行動だけを切り出した映像”が複数残されていた。