気のせいじゃない。
日常のふとした瞬間に、“誰か”が私を見ている。
その視線は、明らかに敵意を持っていた。

シャワーを浴びて、髪を乾かしていると
ふと、ドライヤーの音の向こうから何か“気配”のようなものが入り込んできた。
手が止まる。
背後の方…ベランダ側に、微かな空気の揺れを感じた。

そんなワケがない、と思いながらも、足が勝手にカーテンの方へ向かった。
リビングの明かりがカーテンにうっすらと滲んでいて、
まるで“誰か”の影が向こう側にあるように錯覚させる。
私はゆっくりとカーテンの隙間を開けた。