そう言うと、たいていの人は羨ましがる。でも本当に“理想的”って、どういうことなんだろう。
これは、私が“理想”に押しつぶされていった、始まりの話。
私の夫・遼は、料理が得意だ。
初めて出会ったとき、手作りのお弁当を持っていて、「この人、絶対モテるだろうな」と思ったのを覚えている。
結婚してからも、料理はすべて彼の担当だった。
和食も洋食も、味も盛りつけも、まるでカフェのランチみたいで、私のSNSにアップするたびに「旦那さんプロみたい!」「羨ましい!」の声が並んだ。
そんな日々が、当たり前になっていくうちに、私の中でモヤモヤとしたものが芽生え始めていた。