Aさんは、ようやく心を開きかけたDさんの裏アカウントを見てしまった。
そこには、自分のことを揶揄するような言葉、
“親しさ”を装ったやりとりの裏で繰り返された観察と嘲笑。
一度信じてしまったぶん、
その冷たさは、想像以上に刺さった。
でも、Aさんは静かに目を閉じた。
そして、次の朝、ある行動に出る――
もう、“あの空気”には戻らないと、心に決めて。
朝の保育園。
いつものように集まるママたちの輪。その一角にDさんの姿もあった。
いつも通りの笑顔、いつも通りの柔らかい口調。
でもAさんは、もうその“皮”に騙されなかった。
「昨日の夜、いろいろ考えました」
Aさんは小さく息を吐いてから、Dさんに視線を向けた。
「あなたの“観察日記”、見ちゃいました。
きっと私が見つけたのも、“計算通り”なんでしょうね。」
Dさんの笑顔が、一瞬だけ引きつる。
周囲のママたちも、空気の変化に息を飲む。

「私、もう誰かの“素材”として生きるの、やめます。
輪の中に入れてもらえなくても、
裏で笑われても、
“誰かに認められる前提”で生きるの、やめました。」
ママたちは静まりかえっていた。
Dさんも、Bさんも、誰も何も言わなかった。
でもAさんはそれでよかった。
言葉じゃない。
“空気を支配されない”って、こういうことだと思ったから。