初めて会った日は、夢みたいだった。
笑顔も優しさも、全部“私だけ”に向けられている気がして。

待ち合わせはカフェ。
初めて会った彼は、やっぱり想像通りだった。
穏やかで、話しやすくて、
一緒にいると、自分が“ちゃんとした人間”になったような気がした。
コーヒーを飲み終えた頃、
彼がスマホを差し出してきた。

「実は…ちょっとだけ相談があってさ。
資産運用って、興味ある?」
画面には、暗号資産のチャートアプリ。
1ヶ月で「元本10万が15万になった」と書かれていた。
「今、これ伸びてるんだ。俺、やってる仲間の中でも成績いいほうでさ。本当は人に紹介するの禁止なんだけど…Aちゃんには、言いたくなった」
そう言って、微笑んだ。

私は、頭が真っ白になった。