スマホの画面を見せながら、震える声で説明した私に、
友人は驚くでもなく、
“わかりきったこと”みたいに言った。
「だって、顔も職業も口座も全部偽名なんでしょ?
普通に考えて、詐欺師だよ」
コーヒーを飲みながら、軽い口調でそう言われたとき、
私は
“怒り”より、心の奥で“音がした”。
カチッ。
何かが、壊れた音だった。