ドアを開けた瞬間から、面接官の視線が熱かった。
緊張で手のひらが汗ばむ中、俺はマイクに向かって原曲のサビを歌い切った。
面接官の一人が両手を広げて拍手をしてくれた。
「心に残る歌声だ」
「レコーディングに向いてると思いますよ」
言葉のひとつひとつが、胸に深く刺さる。
学生時代軽音部でボーカルを務めた頃の記憶が、一気に蘇った。
面接官たちは続けた。
「あなたの声を、もっと多くの人に届けたい」
「オリジナル曲制作、ボイトレ、アーティスト写真撮影、カラオケ配信まで…我々が全力でバックアップします」
提案されたサポート内容は豪華そのもの。
夢のステージを現実に近づけるには、これ以上の機会はないと思った。