美咲の料理は、もはや料理とは呼べないレベルになっていた。

この日の夕食も、桜色のご飯にカラフルなゼリー、レインボーに色づいた卵焼きなど、食欲を削ぐような色彩のオンパレード。
見た目は華やかで“写真映え”はするが、味はほとんど感じられず、食材の組み合わせも完全にちぐはぐだった。

「見た目重視で作ったから」と妻は悪びれる様子もなく微笑むが、祐介にとっては日々の“修行”でしかない。
味がしないだけでなく、色合いも味覚を狂わせるほど奇抜。思わず箸が止まる。

「これ、何の味…?あ、ゼリーか…いや、卵焼き…?いや、甘い!?」
思わず眉をひそめながら祐介は口に運ぶが、頭が混乱するばかりだった。