だがそのわずかな迷いも、すぐに「投稿ネタ」として塗り替えられていく。
そして、夫・祐介の怒りは、再び高まっていく。
母・祥子さんの訪問から一夜明けて、家の空気はどこか静まり返っていた。
祐介は、少しだけ期待していた。
あの夜、美咲の表情には、確かに“戸惑い”の色が見えた。
このまま少しでも変わってくれるかもしれない。
そう思っていたのだ。
だが、それは甘すぎる幻想だった。
朝、美咲はスマホの画面を見せながら笑って言った。
「金粉サラダに母、絶句。だけど私はやめない!みたいな。バズりそうでしょ?」
祐介の中で、何かが音を立てて崩れた。
「…ふざけてるのか?」
それは、もう怒りというより“諦め”に近かった。