祐介に「離婚届」を見せられてから数日
美咲の心には、ずっと“モヤ”が残っていた。

料理を作っても、スマホを触っても、何一つ楽しくない。
「今まではこれで満たされてたはずなのに…」
自分でも、その理由が分かってきていた。
ある朝、美咲はゆっくりとスーツケースに荷物を詰め始めた。

静かに告げた言葉に、祐介は驚くことなく、むしろ安堵のようなものを滲ませて頷いた。
衝突ではなく、穏やかなやりとりだった。
けれどそこに流れる空気は、どこまでも“寂しい現実”だった。