私の名前は佐藤紗季。
とあるコンビニの早朝バイトをしている大学生だ。

出勤や登校の時間帯であるこの時間はたくさんのお客さんが来る。
眠そうな学生、無言のサラリーマン、朝から元気なご近所のおばちゃん。
顔ぶれがある程度定着している人も多い。
その人はいつも、混雑の終わり際にくる常連客だった。
「レギュラーで」
100円を投げ捨てるように出して、コーヒーカップを取って、マシンの方へ行く。
慣れてるっていうか、自分のルーティンに一切の迷いがない感じのその人はコーヒーが入れ終わるとすぐに立ち去っていった。