次の日の朝。私はいつもより少し緊張してレジに立っていた。
今までただ流していた日常が、少し違って見える。
そして、いつもの時間、彼が現れた。
「レギュラーで」
無言で100円玉を放り、コーヒーカップを取り、マシンの前へ。
私はその背中を見つめた。
手元がよく見える場所へ、こっそり移動する。
――指が、迷いなくラージのボタンを押した。

カップに注がれていく、たっぷりのコーヒー。
そして、平然と持ち帰るその姿。
間違いじゃない。見間違いでも、思い込みでもない。これは、確信犯だ。