「また来た……」
私はレジ横から彼の姿を見つけて、思わず息を呑んだ。
「レギュラーで」
毎度同じセリフとともに、無造作にカップを取り、マシンへ向かう。その手にはやっぱりラージのボタンを押すための迷いも、悪びれもなかった。
昨日注意したばかりなのに。
私はレジを抜けて、再び声をかけた。
「すみません。昨日も言いましたが、レギュラーのお支払いでラージを押すのは、不正になります」
「…お前さ、しつこいんだよ」
目が座っている。声も、昨日より低い。
威圧感が一気に増していた。
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