「美優さんって、あれ…いつもやってるんですか?」
翌日の休憩中、私は思い切って同じシフトの先輩・遥さんに聞いてみた。
彼女はスマホをいじる手を止め、ちらりと私を見てから小さくため息をつく。
「…まぁね。でも、うちの店じゃ昔からそんな感じよ。誰も咎めないし、美優さんって社員に気に入られてるからさ」
淡々とした口ぶり。でも、どこか諦めたような響きがあった。
「ルールではダメなはずですよね?」
「そうだけど…あんたも、余計なこと言わない方がいいよ。」
遥さんはもう一度スマホに視線を戻し、それきり私の話を聞く気配を見せなかった。
「バイトなんだし」――その言葉が、胸に引っかかる。
正直、私だって“もったいない”とは思ってる。
でも、勝手に持ち帰るのは…やっぱり違うんじゃないか。
言いたい。でも、言えない。
この空気が、黙って見過ごす空気をつくってるんだと思った。
私はその日、いつもよりずっと長く、廃棄ボックスを見つめていた。
翌日の休憩中、私は思い切って同じシフトの先輩・遥さんに聞いてみた。
彼女はスマホをいじる手を止め、ちらりと私を見てから小さくため息をつく。
「…まぁね。でも、うちの店じゃ昔からそんな感じよ。誰も咎めないし、美優さんって社員に気に入られてるからさ」
淡々とした口ぶり。でも、どこか諦めたような響きがあった。
「ルールではダメなはずですよね?」
「そうだけど…あんたも、余計なこと言わない方がいいよ。」
遥さんはもう一度スマホに視線を戻し、それきり私の話を聞く気配を見せなかった。
「バイトなんだし」――その言葉が、胸に引っかかる。
正直、私だって“もったいない”とは思ってる。
でも、勝手に持ち帰るのは…やっぱり違うんじゃないか。
言いたい。でも、言えない。
この空気が、黙って見過ごす空気をつくってるんだと思った。
私はその日、いつもよりずっと長く、廃棄ボックスを見つめていた。