期待していた反応は得られず、むしろ「やっぱり無駄だったのか」と心が沈んだ。
そんなある日、エリアマネージャーの田中さんが店を訪れた。
彼女は普段から定期点検で時々顔を出す人だ。
店の誰もが「またか」といった雰囲気で、特に慌てた様子はなかった。
私は「もしかして」と胸が高まるのを感じる。
それでも、胸の内を押し殺し、普段通りの接客を続けていた。
でも、田中さんの様子は普段通り過ぎて、「通報なんて意味なかったのかも…」
そんな諦めが頭をよぎる。
しかし、田中さんは点検後も帰る気配なく、美優の近くへ歩み寄った。
そして、彼女に声をかける。
周囲の空気が一瞬で変わった。
美優は一瞬表情を強ばらせ、私の心臓は跳ね上がった。