タイムカードを切った後に、川村さんが仕事を指示する。その音声が入れば、立派な証拠になる――はずだった。
「じゃ、いつも通りお願いねー。床、汚れてるから気をつけて」
川村さんの声が録音される。心臓の鼓動が、自分でもうるさいくらいだった。
だが、その時だった。
「ねえ、川村さん。なんか、藤井くん、ポケットでスマホ触ってたよ?」
声の主は、掃除を一緒にしていたバイトだった。
彼は前に俺が掃除を断った時に代わりを頼まれていたーーまさか、逆恨みで?

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