全て終わって、俺たちは助手席と運転席に黙って座った。
窓の外には、さっきまで荷下ろししていた家が見える。
そのリビングには、割れた壺の残骸がまだあるかもしれない。

エンジンがかかっても、工藤さんはすぐには発進しなかった。

「お前さ、納得いってないよな」

不意に言われて、俺は黙ったままうなずいた。


「“壊した覚えはない”ってのが、いちばんキツいんだよ。心がな」
「……はい」
「でもな。こういうの、証拠がないと全部“こっちのせい”になる。バイトってそういう立場なんだ」

俺はそれも、わかってる。
でも、わかってるからこそ、なおさら悔しい。