その日は日曜だった。
ゆっくり目覚めて、母とテレビを見ながら久しぶりにリラックスしていた
その瞬間、インターホンの音が鳴り響いた。

モニターに映ったのは、静江さんと麻理恵さんだった。
2人並んで立ち、無表情でカメラを見つめていた。
心臓が凍りついた。
スマホが同時に鳴った。「佐倉 静江」の表示。
その着信が、私の時間を止めた。

ドアは開けたくなかった。
でも、モニター越しの“沈黙”が、すでにこちらを飲み込んでいた。
母が小声で「どうする?」と聞いてきた。
私は、首を振るしかなかった。
彼女たちは、こちらに“選択肢”を与える気などなかった。