「納戸を整理してたら、妙な黒いノートが出てきた」
「一応、中見たんだけど…」
気になって、佐倉家には戻らず、彼にだけ探らせていた。
数時間後、届いた画像には“あの言葉”が書かれていた。
黒いペンで丁寧に書かれた表紙。その下に、ぎっしり詰まった手書きのルールたち。
「朝は5時起床。義母より早く動くこと」
「義母の味付けは“伝統”とする。批判厳禁」
「義姉の助言は“忠告”として感謝すること」
これはもう“ルール”ではなかった。
“戒律”だった。
夫もさすがに驚いていた。
「親父は昔、これを“受け継がれたもの”って言ってた」
義実家という“組織”の中で、私はただの歯車だった。
しかも、“声を出してはいけない歯車”。