住民の多くが敵意を向けてくる中で、
唯一、普通に接してくれていた人がいた。

Fさん。
同じ35階の住人のひとり。

LIMEではあまり発言しないし、
控えめだけど、感じの良い人だった。

私は勇気を出して、声をかけた。

「Fさん、少しだけ…いいですか?」

すると、彼女は一瞬笑った後
少し困ったように視線を逸らした。


そしてそのまま、足早に立ち去っていった。