夕方。エントランス前でばったり会った橘陽菜は
開口一番、スマホを突き出してきた。

画面に映っていたのは、私と陽菜さんの夫が、笑顔で並んで写っているツーショット写真。


(……なにこれ?)

「これ、あんたとウチの夫よね!?……ふざけないで!!」

陽菜さんは声を震わせながら怒鳴った。
でも、その怒りよりも、私はこの写真に心底、混乱していた。

だって、こんな写真――私は撮られた覚えなんて、ない。