その日、私はいつもと違う時間にゴミを出した。
誰もいないゴミ置き場。
ふと、棚の下に落ちていた小さな手帳が目に留まった。

(……これ、管理人の?)

濃い色のカバー、ボールペンのインクがにじんだ書き込み。
何気なくページをめくって、私は動けなくなった。


3503 退去/〇〇
3503 退去/□□
3503 退去/△△
3503 契約者変更
3503 再契約
3503 再退去

(……なにこれ)

書かれているのは全部、“3503”――私の部屋番号だった。

しかも、半年に一度のペースで、名前と退去の文字が繰り返されている。