「ちょっとだけ、実家に戻るね」

そう言ったとき、剛さんはスマホから目を離さなかった。

「また大げさな…」

そう言われると思ってたけど、
返ってきたのは、ただの沈黙。

“この家に、私はいなくてもいい”

その無言が、私にそう言っているようで
心がすっと冷たくなった。