保育園の夏祭り。
浴衣姿の子どもたちの笑顔。屋台から漂う焼きそばの匂い。
一見、平和なイベントのなかで、“あの女”だけが異物のように浮いていた。

Aはまた、夫に近づいた。
自分の分と見せかけて、ジュースの入った紙コップを2つ持っていた。

「ジュース持ってきました。暑いですよね〜汗かいてますよ〜拭いてあげちゃおっかな…」
笑いながらそのコップを差し出した。

その手を、私は横から奪い取った。
「ねえ、A。今度は、私の番」


言い終えた瞬間、私はそのジュースをAの胸元にぶちまけた。
Aの顔が一瞬で凍った。