冷蔵庫を開けた瞬間、
“あの頃”の匂いがぶわっと襲ってきた。

唐辛子、激辛ソース、謎の粉末。
どれも彼が「辛さは男の美学」なんて言って買い集めたもの。
一つずつ、無言で袋に詰めていく。


感情はもうとっくに使い切っていた。