すべてを断ち切ったつもりだった。
でも、人生はそんなに簡単に“リセット”できない。
“あの家”を離れ、新たな一歩を踏み出した私に
また一通の“何か”が届いた。

あの手紙が届いた夜から、一週間が経った。


私は引っ越した。
今度こそ、自分の足で選んだ場所、自分の名前だけが貼られた表札。

鍵をかけるとき、「守られている」感覚がようやく実感として感じられた。

朝は自分のタイミングで起きて、好きなカップでコーヒーを淹れる。
誰にも文句を言われず、誰の視線も感じず、静かに音楽を流す。

たったそれだけのことが、どれだけ贅沢かを私は知った。

これは、私が手に入れた“新しい生活”。

メールの通知もLIMEの通知も来ない。
あの家との接点は、完全に断ち切った。

…そう思っていた。