外から誰かが見ている気がして、私はすべての鍵をかけた。
二重ロック、チェーン、カーテンも閉めて、スマホの通知も切った。
でも次の日、部屋の“空気”が昨日とは違っていた。


何かが入ってきたわけじゃない。
ただ“触れた”気がした。

朝起きてテーブルの上を見るとコースターの位置がずれていた。
昨日寝る前にきちんと整えておいたのに。

椅子の向きも少しだけ違う。
自分で動かした? でもその覚えはない。

夜中、夢遊病のように私が触ったのか?
それとも

玄関のロックは二重にかけてある。
チェーンもついていた。窓も全部閉めていた。

「誰かが、ここにいたんじゃないか」
その感覚だけが、体の奥にずっと残っている。