それだけでも十分に怖い。
でも、本当に怖いのは、“今も見られている”かもしれないという現実だった。
「佐倉さん…よくこちらでお買い物されますよね」
声をかけてきたのは、商店街の顔なじみの女性。
近所に住む女性で、たまに野菜の情報を教えてくれる人。
私は軽く会釈した。
すると、彼女はふと思い出したように口を開いた。
「そうそう、この辺りで似た方を何度か見かけましたよ。…ほら、少し前に話してたあの“ご親戚”の」
私の表情が固まる。
「緑色の…エプロンを着てらしてね」
「なんというか…すごく静かに、ずっとこちらを見ている感じで…」
私はその言葉に、思わず呼吸を止めた。