その日、鍵を回した瞬間、少しだけ引っかかった。
ほんのわずかだったけれど、違和感があった。

しゃがんで鍵穴を覗き込む。


「…こんなの昨日までは…」

念のためスマホで撮って、管理会社に連絡。
数時間後、鍵業者が来てくれた。

「ピッキング未遂の跡かもしれませんね」
「この辺りでも報告が出てるので…」

そう言って淡々と説明する業者の言葉が、まるで他人事みたいに聞こえた。

だって、私はもう“侵入された”ことを知ってる。
ゴミ袋も、あのメモも…全部、部屋の“中”にあったんだから。