ふと気になって引き出しの中を整理していた。
その中に、見覚えのない封筒があった。

差出人はない。
でも開けた瞬間、背中に氷水をかけられたような感覚が走った。


中には、“夫婦で使っていた頃の”生活設計ノートが入っていた。

家具の配置案。献立のスケジュール。
“理想の1日”として書かれていたタイムテーブルには、私の起床・食事・掃除の時間まで細かく記されている。

そのページの端に、こうメモがあった。

「梨花が“自分で決めたと思える”ように誘導する」

私は、無意識に震える指でそのページを破りそうになっていた。