インターホンの音に、心臓が跳ねた。

21時を過ぎていた。
出前も頼んでない。荷物もない。

おそるおそるモニターをのぞいた。


画面には、帽子を深くかぶった人物が立っていた。
顔は暗く、見えない。名乗りもない。無言のまま。

私は無視した。怖くて動けなかった。

それから、ノックの音がした。
一回だけ。静かに、確実に。
気づけば、手が震えていた。

10分後、ようやくドアスコープを覗いた。
誰もいなかった。
でも、足元に何かが落ちていた。

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