義母から突然、連絡があった。
「話したいことがあるの」とだけ書かれた短いメッセージ。
迷った末、私は会いに行った。

場所は、昔よく夫と通った古い喫茶店だった。
席に着くなり、義母は開口一番、言った。


その“あの子”とは、誰のことか。わかっていた。

「夫のことですか?」
「そう。あの子は、昔から“正しさ”にうるさい子だった。
予定と違うことをされるのが、何より嫌いだった」

私の喉がつまる。
「ルールを破る人を、“修正”したくなるのよ。それは、昔から」

まるで、夫が“人間”ではなく、“習性”で動いてるような言い方だった。ような言い方だった。