もう限界だった。
義母の話を聞いて、私は確信した。
ここは“暮らす場所”じゃない。
“飼育される部屋”だ。

服をバッグに詰め込み、必要最低限の現金も
「何でもいい、出なきゃ」と思った。
玄関に向かい、ドアノブを回す。


鍵は回っているのに、ドアが動かない。

「…え?」

何度も回した。
ガチャガチャと音が鳴るだけ。
内側からかけたはずの鍵。電子錠は開いている。
でもドアは、びくともしない。