“木島直也”と名乗っていた男が、“藤島直哉”になっていく過程が詰まっていた。
複数のF〇cebookアカウント。
名前の違うRhein。
マッチングアプリのスクリーンショット。
「これ、私と結婚してるときに使ってたアカウントです」
Sさんの声は、静かだった。
でも、言葉のひとつひとつが鋭く、私の胸を刺した。
それでも
私は彼の“優しかった笑顔”を脳内で打ち消せなかった。
「でも、彼は私に『一緒に籍を入れよう』って…」
「そのセリフ、私も他の女性たちもみんな言われてますよ」
そう言ってSさんは、
スマホ画面を差し出してきた。
“直哉へ、プロポーズしてくれてありがとう。絶対幸せになります”
SNSの投稿。日付は4年前。
そこに写っていたのは、白いドレスのSさんと、あの男だった。