私は真実を、ナイフのように突き刺した。
「この人は、“藤島直哉”ではありません」
「本名は“木島直也”。偽名で、私を騙していました」
空気が、崩れた。
「この人には、過去に結婚歴があります。
でも、それを隠して私にプロポーズをし、結婚式まで――この場まで来ました」
私はスマホを取り出した。
「ここにあるのは、元妻の証言です。
彼と結婚していた女性が撮った、式の写真。
そして――これは、私以外にも“婚約”していた女性とのRheinです」
スクリーンに映し出された画像。
彼が別の女性に送った「婚姻届出そうね」のメッセージ
“藤島直哉”という名前で複数人と交際していた証拠。
元妻とのウェディングフォト。
被害者女性たちから寄せられた証言の数々。
「これが、“私の婚約者”の正体です」
彼は立ち上がろうとした。
だがその場にいた彼の両親が、腕を掴んで止めた。
「…待て。おまえ、これは本当なのか?」
父親の声が震えていた。
彼は何も言えず、ただ俯いた。