スーパーの前で、学生時代の同級生に声をかけられたとき
私はマスクを引き上げ、逃げるように立ち去った。
もう、誰かに顔を見られるのが怖い。
SNSの掲示板には、今も私の整形前の卒アル写真が貼られている。
「目、いじって正解だったね(笑)」
「これ同一人物? 無理あるって」
悪意のあるコメントが、日常のように並んでいた。
ある日、会社でトイレから戻ると、
私の名前が出たあとに誰かがクスクスと笑った。
やがて知った。
同僚のひとりが、匿名アカウントで拡散していたのだと、あとから分かった。
ランチに誘われなくなった。
朝、出社しても「おはようございます」が返ってこない。
ある日、出勤前に駅のホームで立ち止まって、
「今日、自分の席あるのかな」って本気で考えた。
そして、私は会社を辞めた。
辞表の提出理由は「一身上の都合」。
でも本当は、「この顔で生きてることがもう無理」だった。