納棺師、木村光希さん。2019年5月には、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも出演し、その納棺を行うする姿は全国に感動を呼び起こしました。

納棺師として第一線で活躍するだけでなく、納棺師の育成する専門学校「おくりびとアカデミー」を開校し、納棺師の育成に自ら向き合うほか、また納棺師がプロデュースする葬祭ブランド「おくりびと®のお葬式」も全国各地で展開しています。納棺師だけではなく、教育者、そして経営者としても活躍する木村さんに、お話を伺いました。


自分のことばかりで余裕のない人に、納棺はお任せできません。

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小林

では、よろしくお願いいたします。って、いきなりビールですか?

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木村さん

ノンアルコールですから。安心してください。

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*挨拶してからずっと緊張して汗が止まらないインタビュアーに、ノンアルコールビールでおもてなししてくれました。

 

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木村さん

でも、もちろん普段はこんなんじゃないですよ。おくりびとアカデミーの卒業試験とか、すごく厳しいですよ。

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小林

どんな風に厳しいんですか?

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木村さん

この間、生徒さんの卒業試験の準備をしていたんですが、半月位前の仮試験ではもう全然駄目で。でも、次の時に見たら、もう泣きそうになりました。よくがんばったなって、すごく感動しました。

授業は19時からなんですけど、生徒さんたちは17時くらいから皆で集まって「こうしたら良いよ」とか教え合っていたんです。実は僕、早めに来てそういう姿をちょくちょく見てたんですよね。

そういった練習もあって、やっと普通になりましたね。

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小林

すごく感動したのに「普通」ですか?確かに厳しい……。

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木村さん

すごく嬉しいですけどね。「普通」です。

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小林

仮試験で「駄目だった」っていうのは、具体的に何が良くなかったのですか?

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木村さん

まず、目線がご遺族に向いてない。

手順とか、時間とか、型ばかりに意識が行き過ぎていて、受験者が自分のことで一杯いっぱいになっていました。

今回の試験は、ご遺族の前で納棺を行うという設定ですが、その基準に達していない。

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小林

ご遺族の前で故人様のお着替えをさせるわけですよね?すごく大変じゃないですか?

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木村さん

大変ですよ。でも、それは教えてきていますから。寝ていてもできるくらいになっていないと。

ご遺族の前では納棺師自身の体調が万全ではないこともあります。どれだけ体調管理していても、ほこりが舞ったりするとくしゃみが止まらないとか。もちろん、本人の体調だけでなく、亡くなった方の状態も、環境も毎回異なります。なので、型をまず教えますが、そこからいろいろなイレギュラーに対応できるようにならないと、ご遺族の前には出れません。

そういう意味でも、自分のことだけで余裕のない人には、納棺はお任せできません。


自分のベクトルがどこを向いているのか、常に考えています。

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小林

HPの木村さんのプロフィールに「子どもの時から遊びのように納棺していた」とありましたが、やはりそれくらいやらないと通用しないってことでしょうか?

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木村さん

毎日していたわけではないですよ(笑)

やばくないですか?実際にそんな子どもがいたら?

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小林

でも書いてあったし。すごいなあ~って思いましたよ。

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木村さん

そんな子ども、いるわけないじゃないですか。ミニ四駆とかポケモンとかやらないで、毎日納棺してる子どもがいたら問題でしょう?

でも、大人がやってることって、真似したくなりますよね。「今忙しいから、駄目」とか言われると、ますますやりたくなるじゃないですか?

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小林

子どものころからお父さんについて納棺に行かれてたんですか?

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木村さん

現場にまでは行っていませんが、家族でご飯を食べに行っている時でも父が呼ばれたりとかはありました。昔は携帯が無かったので、車に無線がついてましたね。

父が霊安室に向かって初期処置を済ませて戻って来るのを、子どもたちはしりとりしながら待っていたり。家族で旅行に行っていても、途中で急に父親がいなくなったり。プールに入っていても「ちょっと行ってくるわ」とか。子どもたちは「えー」って感じですよ。

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小林

家族も大変なんですね。

それでもお父様と同じ納棺師になって。しかも学校を創ったり、葬儀も始めて。……もっと大変になってません?

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木村さん

葬儀の業界には2代目、3代目という方も多くいらっしゃいますし、この辺、どう伝えればいいかわからないのですが、学校を始めたり、葬儀を始めることで、父の世界から飛び出せたのは良かったなと思っています。

親は大事ですし、感謝もしていますが、でも自分の人生ですから。

確かに、納棺師だけをずっとやっていれば、もっと楽だったとは思いますけど。

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小林

木村さんが納棺師を始めたのって何歳の時でした?

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木村さん

仕事として、ということでしたら21歳です。

その時はまだ大学生だったんですけど、なんか「大人って、こんなものなの?」とか思って(笑)

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小林

なんか聞くのが怖いですけど……どの辺を見て「こんなものか?」と感じたのですか?

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木村さん

何がって、ベクトルが自分とか、上司とか社内にしか向いていなくて。

「もっと良い着せ替えの仕方があるよ」とか、「もっとお客さんに喜んでもらうためにはこういうことした方が良いんじゃない?」とか言うと、「若いね~」って。

「納棺ってこういうもんだから」「これで良いんだって。今にわかるから」とまで言われて。「まじか!?」と思いましたね。

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小林

本気で言ってるのに、先輩にそんなこと言われちゃうと、確かに切ないですね。

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木村さん

もちろん、中には本当にすごい先輩もいらしたんですけど、でも一握りですね。大人って視野が狭いなあって思いました。

でも、そういう僕自身も、染まっちゃった時期がありました。目の前のことに一杯いっぱいで、葬儀社さんの方しか見てなかったんです。「どうしたら葬儀社さんから指名がもらえるか?」とか。もちろんB to Bの仕事としては大事なことですけど、ただ、あまりにもそっちを向きすぎてしまった。これはダメだなと。

それから自分のベクトルがどこを向いているのかを常に考えるようになりました。

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木村さん

これは業界の中でも言えることですよね。「おくりびとのお葬式」で、僕は北海道と東京と静岡と愛知とでご葬儀をやっていますが、やはりそれぞれの地域で、必ずほかにも葬儀社さんはいらっしゃいます。でも、競合があるからこそお互いが切磋琢磨して、サービスが向上します。だから他社さんに負けたら「やられた~。よしっ、次どうしよう!?」っていうのが正常だと思います。それを葬儀社さん同士でいがみ合ったりとかしてしまうと、業界がどんどん小さくなってしまいますよね。

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小林

その点、おくりびとアカデミーという教育機関があると、業界全体を見渡せるというか、ニュートラルな立ち位置にいられるんじゃないですか?

やはり、教育は大切だと。

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木村さん

そうですね。

大手の葬儀社さんは別として、小さな会社では新しい人材も生産性として捉えてしまいますが、それでも3ヵ月間は教育をする期間を設けるとか、教育担当者を付けるとか、その教育担当者は現場に出ずに新人の育成に専念するとか、そういう組織改革はやらなければならないと思います。

それをしないとどのようなことが起こるか?というと、せっかく入った人材が気持ちと業務のバランスが保てなくなって辞めてしまうんです。「全体がこのようになっていて、僕らはその中のこういうことを、こういう想いでやります」ということをきちんと伝えて行くことが大事です。

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「いい人」という評価はありません。「いい人を育てる」なんてことも不可能です。

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木村さん

この業界に入ってくる人、いい人が本当に多いんです。

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小林

確かに、優しくていい人が多いと思います。

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木村さん

でも、それが最重要ではないと僕は思います。

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小林

えっ?違うんですか?

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木村さん

「いい人」なのは分かるのですが、「いい人」という評価はできないです。「いい人を育てる」なんてことも不可能だと思います。そうではなく、目標を設定して、やるべきことをしてもらう。それだけです。その中でいい人になるか、否かはその人次第です。モチベーションもそうです。やるかやらないかは本人が決めることです。僕の根本には、こうした想いがあるというわけです。

先ほど卒業試験の準備をしていて「泣きそうになった」と言いましたが、確かに、生徒さんたちは皆で協力し合って一生懸命やっていました。それはキラキラしていて素敵なことです。でも、僕はあえて「どうでも良いこと」と考えます。感動はしますが、試験という1時間の中では、「遅くまでがんばっていたから」「一生懸命やっていたから」なんてことは関係のないことなのです。

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小林

厳しい……。

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木村さん

ご遺族は、その納棺師が行う納棺の時間しか知りません。もしご遺族が「あの納棺師さん、乱暴でした」とおっしゃったとします。それに対して「本当は彼はとても優秀な納棺師で、朝から晩まで熱心に練習もしているんです」と言ったところで、ご遺族にとっては「そんなこと知らないよ。ふざけるな!」ってなります。

それが仕事です。

だったら、社内でもそうあるべきで、評価もお客様と同じ目線でしなければなりません。「あの人、すごくいい葬儀をするんだよね」と、社内で褒め合っていても、何の意味もありません。それこそ、ベクトルが社内に向かっているということになります。

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小林

なるほど。以前、疑問に感じたことと同じことが起きてしまうわけですね。

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木村さん

良いか悪いかはお客様が判断するべきことですし、その判断を間違えると会社が崩れてしまいます。そしてその評価は、数値でしか判断ができません。それを測っていかないといけないと思います。これは葬儀の時もそうですし、学校の試験の時もそうです。評価するポイントをはっきりさせることが大事です。

ただ、営業とかだとこういう結果があれば、こういうリターンがあるよとかできますけど、バックオフィス等は評価の仕方は難しいところですね。葬儀の評価基準も大変です。

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木村さん

でも、評価に感情が入っちゃうと駄目になります。ベテランが若い人を評価していて「あいつ、根性ないんすよ!」って、根性って何ですか?って感じですよね。「やる気がない」とか「誠意がない」とか。

すべて主観ですよね?新人は遅くまで練習するのが当たり前って言われても、遅くまでやっても効率は悪いし。早く帰ることの何が問題なのか僕にはわからないです。

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小林

結果だけ出せばいい?

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木村さん

そうです。もちろん結果だけではないですが、それでも結果は大事です。

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小林

その結果を判断する仕組みって、どんなものですか?

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木村さん

納棺師の場合、アンケートがあります。アンケートの結果に対してランク付けして、評価ができるようになっています。

例えば教育という点であれば、新人を何か月以内に合格させることができれば手当を付けるとか、営業は新規のお客さんを獲得したらとか。

営業をしても良いし、納棺の現場が終わったら事務所に戻って自分の技術を磨いても良いし、教育を熱心にしても良いし。結構、細分化されてますね。

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小林

その中で、自分の得意な分野を選んで評価してもらえるわけですね?

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木村さん

自分で選んでくださいという感じです。

ルールを決めて、皆でそれぞれのポジションで楽しめれば良い。それがお客様にとって良いことであれば、それで良いわけですから。


上下関係は明確にする。窮屈かもしれないけど、窮屈な中で戦っていくのが僕らの仕事なんです。

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小林

すごい、自由な雰囲気ですね!

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木村さん

確かに自由ですけど、この仕事だからすごく大事にしていることもあります。

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小林

何ですか?

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木村さん

まず、社内では絶対に敬語で話をするとか。挨拶の時は、立ち止まってするとか、細かいルールがあります。

僕が会社から出る時にはスタッフ全員が並んでたところもあります。

僕の車が見えなくなるまでお見送りをするというルールを、そこの支配人が作ったのです。

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小林

それぞれの支配人の方が「こういうルールを作ります」というのを自由に決めることができるのですか?

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木村さん

もちろん大きなルールについては勝手に決めることはなく、相談してくれますけどね。

ルールを決めるということは管理者の権威になります。そこでお互いの立ち位置が明確になります。

ルールに従いたくない場合は、自分が上に行けるように努力すればいい訳です。でもお客様のためであればルールは作るべきです。

先ほどの、僕を見送るルールというのは、その支配人が「お客様がいらした時、必ず全員がお見送りをする」ことをより徹底させるためルールを作った訳です。普段来ない僕はお客様なのだそうです。

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小林

なるほど。

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木村さん

「お客様がお帰りになる時にはこういうお見送りをしたい」というのはその支配人の判断です。

だからそれは良いことだなと思って。

でも廃止しました。

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小林

廃止したんですか?

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木村さん

「皆できてるのは分かったから、もう僕の時はやらないで」って、お願いしました。僕お客様じゃないから(笑)

他にも、ネクタイの結び方を決めているところもあります。襟にボタンがついたワイシャツは禁止とか、襟の内側に柄が付いているワイシャツは禁止とか。

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小林

お客様への印象に直結するような部分は結構、細かく、厳密に決められているんですね。

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木村さん

そうです。良いルールは他のエリアにも展開します。

上司や部下の立ち位置ってとても大事だと思っています。僕らの中ではIT業界のように全員がフラットな立ち位置というのはありません。

管理者とプレーヤーと役割が違うのでどちらが上とか下とかというのとはまた違うのですが、位置関係は明確にしないと。

窮屈といえば窮屈ですが、僕はそれでいいと思っています。その窮屈な中で戦っていくというのが、僕らの仕事なんです。

お客様の前に、僕みたいな奴が来たらヤバイじゃないですか?

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小林

いや、ヤバくはないけど(笑)そういうのが好きなお客様もいるかも?

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木村さん

Tシャツで現れて、じゃあ打合せしましょう、祭壇どうします~?とか。そこの自由度を高めすぎちゃったら駄目でしょう。


ルールは、責任を背負える人が作るべきです。

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小林

ルールは確かに大事かもしれませんが、むしろそのルールの決め方の方が大事かな?って思うんですけど。力尽くでルールを作るというのもあれば、こっそりルールを変えちゃうという変え方もありますよね。

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木村さん

そうですね。

ルールには責任が伴います。責任を背負える人がルールを作るべきだと思います。全員で決めて全員が責任取れるんだったらそれでいいと思います。

覚悟と責任を理解した上で作るのであれば、そのルールの決め方はどのように決めても良いと思っています。何かがあったら誰が責任を負うの?どのように責任を負うの?ということは必ず聞きます。

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木村さん

先ほどのお客様をずらっと並んでお見送りするというルールだったら、「もし『並ぶのは嫌です』というスタッフがいたらどうするの?」と聞きます。すると、どのようにリスクヘッジをしていますとか、何かあった時はどのように責任を取るかとか、そのルールを決めたらひとり一人のスタッフはどのような反応を示すかといった予測とか、説明を受けます。

それで納得したら、じゃあベクトルはどこを向いているの?と。それでそのルールがお客様の方を向いているということがわかれば「だったら良いですよ」となります。

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小林

誰が決めるか?ということですか?

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木村さん

誰が責任を取るんですか?ということです。

だから僕は自由なんです。その代わり、全部僕が責任取ります。今はね。

でもそれをちょっと変えたいなとも思っています。僕はルールの下にあった方が良いかなとも思います(笑)自分のルールの中にずっといたら成長しないなって。

かっこよくないですか?

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小林

カッコ良いですね。評価の方法が明確で、責任の所在が明確。わかりやすい組織ですね。

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木村さん

組織には「0.9999……」で良いところと、絶対に「1」でなければならないところがあると思うんです。「これで良いんだろうか?」と悩み続けるべき部分と、「これは合っている」と自信を持って言い切れる部分。「僕らがこれを提供していくんだ」という揺るがない部分、覚悟です。

僕らにとって納棺の儀式というのは「1」です。納棺の儀式は絶対にやるべきこと。お客様に「(納棺の儀式は)やらなくていいです」と言われてもやる。僕たちの覚悟でもあります。

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小林

ご遺族が何と言おうと……?

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木村さん

基本的にはしっかり処置はさせていただきたいです。

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木村さん

でも「立ち会わなくてもいいですよ」というのはありです。ただご遺族が目の前にいらしても、いらっしゃらなくても私たちのことなので、絶対にやる「1」の部分です。

それでは、「0.9999……」は何かと言えば、メモリアルムービーだったり、お葬式の種類であったり。お葬式ってあいまいなところもありますから。

例えば、以前、僕が故人様の黄疸をメイクをした際に、顔や腕などはメイクで直したのですが、足だけはメイクを施しませんでした。最期の姿を全部隠してしまうのではなく、知るべき部分もあると思ったからです。

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小林

知るべきことって何でしょう?

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木村さん

すべてがきれいごとではないですし、伝えなければいけない部分もある。

それをどう表現すればいいのか?ということです。

正直、「全部化粧してきれいにしておけば良かったな」と思う時もあります。でも「これで良かった」と思う時もある。この迷いというか「0.9999……」のところがあるから仕事って面白いのかもしれません。


お別れのクオリティーを上げることは、社会への貢献につながるって本気で考えてます。

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小林

今の葬儀とか供養とか、業界についてはどんな風に見てますか?

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木村さん

これは本気で考えているのですが、「本当にいいお別れが社会に浸透していくと、いいお別れをしたご遺族たちの人生は変わる」と思います。その方々の人生が変わると社会に影響をもたらすと思います。お別れのクオリティーを日本全体で上げていくことは、日本全体の社会への貢献になるということを考えてはいるんです。

「業界を何とかして盛り上げたい!」なんてことを勝手に考えてる。本気で。

諸先輩方からすれば、「お前が言うな!」ってみたいな話なんですけど。

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小林

「お別れの質を上げることで社会に貢献する」って良いですね。おくりびとアカデミーの理念ですか?

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木村さん

僕、理念教育というか、あまり好きではないんですよね。全員が理念のことばかり考えちゃうと、おかしな方向に行っちゃうんじゃないかなって。

たぶん現場からすれば「理念なんかより休みたいんだよ」っていうのが現実ですよね。現場の方たちが考えるベクトルは、やはりお客様のことで、お客様が評価したことがリターンとして返ってくる。皆がそれぞれの役割を果たすことではじめて理念が生きてくる。

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小林

なるほど、では経営者の役割は?

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木村さん

経営陣は常にビジョンを持って、失敗しまくって、謝り続ける(笑)

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小林

失敗って、何かやらかしたんですか? あんまり謝ってるイメージないんですけど。今までで一番大きな失敗って何ですか?

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木村さん

滅茶苦茶謝ってますよ。一杯ありすぎて、一番の失敗なんて分かんないですよ(笑)

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小林

面白いお話、ありがとうございました。

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木村さん

え?もう終わり?

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小林

だって、結構しゃべったじゃないですか。もういいでしょ?

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木村さん

だって……。

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今日は時間、何時まで大丈夫なんですか?

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木村さん

夜まで大丈夫ですよ(笑)

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絶対嘘だな(笑)

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木村さん

(笑)

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小林

ではまた、続きはまたの機会に。本日はありがとうございました。

 
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木村さん

……ありがとうございました。

 
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木村光希納棺師。 幼少の頃より、納棺士である父の影響もあり、遊びの一環として納棺の作法を学ぶ。納棺・湯灌専門会社にて納棺士としての活動を始める。その後上京し、おもにアジア地域(韓国・中国・台湾・香港)で納棺技術の指導を行う。平成25年6月、人生の終末期をサポートする人材育成の必要性を感じ、株式会社おくりびと®アカデミーを設立。代表取締役に就任。平成25年10月、納棺士の資格付けを行うための専門機関として、一般社団法人日本納棺士技能協会を設立。代表理事となる。平成25年12月、超高齢化社会に対応する組織作りへの取り組みが評価され、株式会社経済界主催「金の卵発掘プロジェクト2013」にて審査委員特別賞を受賞。平成27年12月、納棺士が葬儀をプロデュースする葬祭ブランド「おくりびと®のお葬式」を立ち上げ、全国で11店舗展開中。
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