
19日深夜、乃木坂46の橋本奈々未がグループからの卒業宣言を発表した。立ち上げ当初からの1期生で、言うまでもない“乃木坂”中心メンバーの卒業ということでその反響は大きかった。
<乃木坂スタート時、橋本は美術系の学校に通う大学生だった>
2011年8月、アイドルグループ・AKB48の公式ライバルとして乃木坂46は立ち上がった。当時美術系の大学生だった橋本はオーディションに合格し、1期生として立ち上げ当初からグループを支え、デビューシングル「ぐるぐるカーテン」から「七福神」※入りを果たす人気メンバーになった。
グループのシングルが安定したセールスを残す一方で、橋本個人は2013年になると日本テレビ系ドラマ「BAD BOYS J」に出演を果たし、同年には日本テレビ系「ZIP!」の新コーナー「川柳女子」にレギュラー出演開始。また山下智久主演のフジテレビ系月9ドラマ「SUMMER NUDE」にもレギュラー出演を果たした。乃木坂46メンバーの月9出演は生田絵梨花に次いで2人目だった。
このように橋本個人もグループと共に躍進を遂げていったが、乃木坂と言えば2014年の紅白内定報道から一転しての落選という苦渋を味わった出来事を外しては語れない。直後の2015年、橋本は女性ファッション誌「CanCam」の専属モデルに起用されたほか、フジテレビ系「World Baseballエンタテイメント たまッチ!」の5代目アシスタントに就任する。そして乃木坂46の初主演ドラマ・テレビ東京系「初森ベマーズ」ではマルキュー役を演じたほか、オリコン週間写真集チャートで1位を獲得したファースト写真集「やさしい棘(とげ)」(幻冬舎)を発表するなど、各方面に渡っての精力的な活動で人気を博した。
そして紅白落選から1年、グループは自ら這い上がる形で翌年の初出場を決めたのだが、そこに至るまでの道のりには大きな葛藤・苦悩がメンバーの間にあったことは想像に難くない。
※「七福神」は各シングルのメインを張る7人、選抜メンバーが16人前後いる中でも特に人気のあるメンバーのこと。現在は人数は変動制になっている。
<橋本の今回のセンター抜擢とそれにまつわるファンの悲喜こもごも>
橋本はデビューから最新シングルまで連続で「福神」入りを果たす安定した人気を誇っていたメンバーだが、不思議とセンターポジションとは縁がなかった。それだけに16日深夜の出演番組内で、乃木坂46の16thシングル「サヨナラの意味」で初のセンターを務めることが発表されたのは、それこそ「満を持して」の表現が当てはまるもの。ファンからも「ななみんセンターって聞いた瞬間から マジでMステが楽しみで仕方ない!! 」「16枚目ななみんセンターだ!! おめでとうございまーす」「ななみん初センター決まったの?まじ?やっとか!!!」と声が上がるなど、支えてきたことに対しての喜びもひとしおだった。
しかし、その一方で「ななみん初センターで卒業すんのか」「ななみんセンターになったから卒業かなって思った」「彼女がセンターになる時は、卒業の時じゃないか。とか言われてたけど」とセンター抜擢と卒業を紐づけるファンの声も根強いものがあった。結果として19日深夜放送のラジオ番組・ニッポン放送「乃木坂46のオールナイトニッポン」で自身の誕生日である2017年2月20日を目処に乃木坂46を卒業し、芸能界から引退する意向を表明したことは、後者のファンたちの予想が的中したことになる。「サヨナラの意味」は橋本にとって初センターにして、乃木坂在籍中のラストシングルとなった。
<「サヨナラの意味」MVで描かれる様々な背景に注目>
「サヨナラの意味」の歌詞は「別れを乗り越えるものであること」「新しい出会いがあること」が歌われている。同曲のミュージックビデオは、「棘人(しじん、きょくじん)」と「人間」の関係が描かれている。橋本は身体に棘を持つ棘人役を演じているが、これは橋本のファースト写真集のタイトルが『やさしい棘』であることとの関連性がささやかれている。衣装も橋本が北海道出身であることが関係しているのか、アイヌ民族の伝統衣装をイメージしているのではないかと言う見方もある。ちなみに西野七瀬が人間側で卒業する橋本からのバトンを引き継ぐ側にいること、橋本と共に棘人役で「御三家」と言われる白石麻衣、松村沙友理との映像内での共演は早くもファンの間では話題になっている。
橋本はスポ—ツ誌のインタビューで卒業発表にあたってのコメントを出しているが、卒業について「理由って、ないかもしれません」と語っている。また「去年の今ごろ、母親からの手紙で、『無理しないでね』みたいな、すごい長い手紙が初めて届いたんですね。何の前触れもなく。それでなんとなく、そろそろなのかもしれないなと思いました」と答えていたことが報じられている。もともと身体が弱く、体調不良を押してまで芸能活動に全力投球で挑んでいたと言われる橋本の魅力のひとつによく「はかなげな美しさ」が言われている。そんなファンにとっての「はかなげな美しさ」は橋本がずっと頭にあったという卒業を「やり尽くした」という理由で選んだことともどこか重なるように思えてならないのだ。
芸能界も引退するという、ファンにとっては衝撃的ともいえる発表もあった橋本だが、乃木坂46での活動はあと少しだけ残っている。グループにとっても大功労者でもある橋本だけに、卒業までどのようなパフォーマンスを見せてくれるかに注目したい。そしてファンはぜひ現場に足を運んで、橋本本人の今後を後押しするようなポジティブな生の声を届けて、乃木坂46の橋本奈々未の有終の美を見守ってあげてほしい。