自治体による18歳、22歳の住民の名簿を電子や紙媒体で防衛省に提供する行為が本人の同意もなく行われているのは「プライバシー権の侵害」と奈良地裁では当時18歳だった奈良市民が国と奈良市を相手に「自衛隊名簿提供違憲訴訟」を起こし、係争中で、全国から行方が注視される中、日本共産党機関紙「赤旗」は3日、電子版で「2024年度に自衛官募集のため高校生・大学生の個人情報を記載した名簿を自衛隊に提供した自治体が1152に上り、23年度より13自治体増え、全国自治体の約66%にのぼった」と報じた。
自治体が提供しているのは氏名・生年月日・住所・性別の4情報。
「現行でも可能」としている点では「住民の個人情報を本人の承諾なく、本人が知らないうちに自治体(市区町村)が自衛隊員募集のために提供してよいという『法的根拠は明確になっていない』というのが現況」だ。
赤旗は「保護者など市民が声を上げ、奈良県山添村や福岡県太宰府市などでは提供を中止。北海道では、市民と日本共産党議員団の取り組みで名簿提供から閲覧に押し戻した自治体もある」と伝えている。
奈良地裁判決が出るまで、少なくとも自治体は募集対象者情報を提供する場合、自衛隊に提供する名簿から自身の個人情報除外を希望するか、該当者に周知し、数か月間の受付期間を確保し、受付を終えたうえで提供するということが最低限、個人情報を扱う自治体としてすべきことだろう。(編集担当:森高龍二)