電子部品メーカーのロームと村田製作所は基本的な物流で連携する。具体的には物流における温室効果ガスの排出抑制と輸送コストの抑制を目指して、日本通運が所有するEVトラックを活用した共同輸送を電子部品業界で初めて開始する。


 この協働輸送におけるEVトラックの1日あたりの走行距離は約210kmであり、国内におけるEVトラック輸送としては最長クラスだ。社会全体の気象温暖化の深刻化に伴い温室効果ガスの排出量を抑えるなど環境負荷を軽減する取り組みは喫緊の課題で、なかでも貨物自動車におけるCO2排出量は、国立環境研究所「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」によると日本全体のCO2排出量の7.4%を占めるとされている。


 このようななか上記2社は、CO2排出削減手段にEVトラック導入を決めた。ただ、EVトラックは1台当たりの車両価格がディーゼルエンジントラックと比較して高額で、充電インフラ整備など導入における課題も多い。


 かねてよりグリーン物流の推進を掲げ、環境負荷軽減施策の検討を進めていたロームは、村田製作所からEVトラックを活用した共同輸送 スキームへの参加の呼びかけがあり、両社の考えが一致したことから、物流委託先である日本通運を交えた3社で協議を進め、電子部品業界初となる協働輸送が実現した。


 同業企業による共同物流の前例として、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーのビール大手4社が、トラックの自動運転を開発する「T2」と協働、関東と関西間の拠点物流を始めている。


 こちらの第一義の目的は、ドライバーなどのスタッフ不足に対処することだが、村田製作所とロームは、EVトラックの導入および輸送コストを抑制。さらに 共同輸送によって一度に輸送する荷物量が増え、積載効率も向上するため、省エネルギー化をも目標としている。当然だがドライバー不足等の物流業界の課題解決にも寄与する。(編集担当:吉田恒)

編集部おすすめ