ホンダは、数年前より積極的に開発を進めているハンズフリーパーソナルモビリティ「UNI-ONE(ユニワン)」の事業化を決定し、日本国内の法人顧客向けに9月24日から発売する。


 UNI-ONEは、移動の負荷を軽減することにより、足腰の負担への不安から外出を控えていた多くの人々の外出を後押しし、「自由な移動の喜び」を志向する道具だ。


 UNI-ONEは、ASIMOなどのロボティクス研究で培った技術を活用し、腰掛けた状態で体重移動するだけで歩行するように移動でき、両手が自由に使える着座型のパーソナルモビリティだ。難しい運転操作を必要とせず、幅広い年代の方が利用しやすい設計とした。


 UNI-ONEの利用形態は、クルマなどで移動したその先の「目的地で利用するモビリティ」として施設内などの特定のエリアでの顧客の回遊、オフィスや作業場所などで高齢者をはじめとする多様な人材の活躍支援、労働生産性の向上など、さまざまな用途での利用を想定している。


 ホンダは、「U3-X(ユースリーエックス、2009年公開)」、「UNI-CUB(ユニカブ、2012年公開)」など、人と協調するパーソナルモビリティの開発を行なってきた。この後継モデルとして、さらに技術進化を重ねて開発されたUNI-ONEは、2022年の国際ロボット展での公開以降、さまざまなイベントでの展示や試乗会で好評だ。2023年からは、有償実証実験を行ないながら量産化、事業化に向けた取り組みを進め、2025年1月には公道走行が可能となる「移動用小型車」の型式認定を取得し、これにより活用の幅がさらに広がった。


 この「移動用小型車」と識別される車両は以下の要件を満たし、「歩行者」と同等の扱いとなる
 
 1車体の大きさ
 
 2車体の大きさは、次に掲げる長さ、幅及び高さを超えないこと。(1)長さ:120cm(2)幅:70cm(3)高さ:120cm
 
 3車体の構造


 (1)原動機として、電動機を用いること。
 
 (2)6km/hを超える速度を出すことができないこと


 4歩行者に危害を及ぼすおそれがある、鋭利な突出物がないこと。以上


 施設内などの特定のエリアを回遊する際の利用者の負担軽減や、オフィスなどでの作業者の業務負荷軽減など、さまざまな用途にUNI-ONEを活用することで、人びとの暮らしをより豊かに、快適にサポートすることを目指す。


 歩くように移動しながら両手が使えるというUNI-ONEの特徴を生かし、オフィス管理業務における労働生産性向上や業務負荷軽減に貢献。また、歩行に不安のある方など、多様な人材の活躍を後押しする。


 UNI-ONE公式ウェブサイトを通じて、日本国内の法人のユーザーを対象にUNI-ONE本体、交換式バッテリーに加え、メンテナンスや保険をパッケージとした「サービス契約」の形式で販売する。


 UNI-ONEの販売開始後の導入先の一例として、10月19日から株式会社サンリオエンターテイメントが運営するサンリオキャラクターパーク ハーモニーランドに導入する。ハーモニーランドは、大分県速見郡日出町の自然の中にある屋外型の施設で、幅広い層の入場客が来園するなか、親子3世代で来園される小さなお子様からご年配の方や、障がいをお持ちで長時間の歩行に不安がある方も、移動の負担から解放され一緒にパークを楽しんでほしいという思いがあり、UNI-ONEの活用により、この思いの実現に貢献するほか、障がいのある方が抱える「移動や余暇活動についてまわる困難」という社会課題をUNI-ONEで解決していくことを目指し、導入を決定したという。今後、UNI-ONEの活用展開が興味深い。(編集担当:吉田恒)

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