日本の軽自動車規格で電気自動車(EV)の市場競争が本格化しそうだ。乗用はホンダが他社製の従来車種より航続距離を少なくとも1.5倍に伸ばした新型車を発売する。
ホンダは新型軽乗用EV(電気自動車)「N-ONE e:(エヌワン・イー)」を9月12日に発売すると発表したのだ。
この軽自動車EV分野で、中国勢のBYDが2026年後半の市場参入を目指しており、開発動向が注目される。航続距離や積載性でよりシビアな目線が向けられる軽自動車規格の商用バンはトヨタ、スズキ、ダイハツが共同開発を進めている。
ホンダの新型N-ONE e:は、そのコンセプトを「e:Daily Partner」とし、日々の暮らしに活発に寄り添う“日常のパートナー”となるクルマを目指して開発した。
新型N-ONE e:は、愛着の湧くエクステリアデザインや、ホンダのパッケージングの基本思想である「M・M思想」をホンダ乗用車の原点、N360から継承しつつ、EVならではの力強くクリーンな走りと静粛性、そして日常使いに安心感をもたらす航続距離295kmの実現。より幅広いユーザーに支持されるスタンダードなEVとなることを目指した軽乗用EVだ。もちろん、給電機能やV2H(Vehicle to Home)など、EVの便利で暮らしに役立つ機能も備えている。
エクステリアは、N-ONEのデザインをベースに、EVらしいクリーンさを表現した。フロントフェンダーや、リア周りのガラスを含むテールゲート全体を、強い張りを持たせた曲面に仕上げることで、上質な立体感と軽快で安定したスタンスを表現している。
インテリアは、インストルメントパネル上部を薄さが感じられる造形とすることで、室内の広がりを感じられる空間とし、同時に前方視界が広く確保でき、車幅感覚もつかみやすく、運転時に安心感をもたらす見通しの良い視界を提供する。
また、ホンダが掲げる環境負荷ゼロ社会実現に向けた取り組みとして、フロントグリルには廃棄されたホンダ車のバンパーをリサイクルした「バンパーリサイクル材」を採用。インストルメントパネル上部のベージュ色の加飾には植物由来のバイオ樹脂を用い、インシュレーターや純正アクセサリーのフロアカーペットには、使用済みペットボトルなどを再資源化した素材を活用。
走行性能の面では、EVらしく静かでスムーズな加速に加え、扱いやすく小回りがきくハンドリング、床下に配置したバッテリーによる低重心設計が生み出す高い走行安定性、電動サーボブレーキによる自然で安心感のある減速特性など、運転のしやすさと快適な走りを両立した。
さらに、ホンダの軽乗用車として初めてシングルペダルコントロールを採用。アクセルペダルだけで加減速から完全停車まで行なえ、街中の走行や駐車時におけるペダルの踏みかえの煩わしさを軽減し、日常のドライブをより快適に変える。
EVとしての基本性能は、WLTCモードで295kmの航続距離を達成。充電時間は普通充電で約4.5時間、急速充電で約30分を実現し待機時間のストレスを軽減した。加えて、バッテリー冷却・加温システムにより、夏季や冬季でも、航続距離・充電時間が安定する。
加えて、先進の安全運転支援機能「Honda SENSING」を全タイプに標準装備。ホンダの軽自動車として初めて「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」を搭載した。また、衝突事故での二次被害軽減を支援する技術である「衝突後ブレーキシステム」をN-VAN e:に続き採用した。
新型は生活スタイルに合わせて、2タイプのグレード設定。価格はシンプルなデザインや機能を追求した、N-ONE e:のスタンダードタイプ「e: G」が269.94万円、e: Gをベースに急速充電などを標準装備した上級グレード「e: L」が319.88万円だ。