子どもたちの興味や関心を掘り起こし、未来の可能性を広げるためのイベントやプロジェクトが全国各地で盛んに行われている。企業や団体、自治体など、さまざまな分野で活動している専門家たちから学んで知識を得たり、体験できたりする機会は、子どもたちの感性を刺激するかけがえのない経験となるだろう。


 毎年定期的に開催されるなど、根強い人気を博したイベントも多数。今後の参考にしてみてはいかがだろうか。 


 例えば、今年の夏休み期間中に開催された、株式会社AQ Group主催の「つくろう!木育フェス2025~森と平和と、子どもたち~」(後援:農林水産省、埼玉県、さいたま市ほか)は、2023年より毎年夏季に開催されている人気の「木育」イベントだ。


 同イベントは、木造注文住宅事業やその周辺事業、近年は中大規模木造建築の普及事業にも積極的に挑んでいる同社が、次代を担う子どもたちに大工体験を通じて、木の素晴らしさやものづくりの大切さを学んでもらおうと開催しているものである。木育授業や廃材アートコンテスト、カンナ削り体験といった木に触れるプログラムを通して、子どもたちに地球環境貢献の大切さなどを考える場を提供し、豊かな人間形成を目指すSDGs活動だ。


 3回目となる今回は、国・県・教育委員会・民間企業などから後援される巨大イベントに成長し、オープニングイベントでは、本社ビルをメイン会場に全国各地の拠点をオンラインで結んで実施し、初日だけで2500名超が参加した。期間中トータルの参加者は、YouTube視聴などを含めて約1万人にも達したという。さらに、本イベントは「第19回キッズデザイン賞」を受賞するなど、外部からも高く評価されるイベントとして社会的価値を高めている。


 同じ期間、秋田県の大森山公園グリーン広場一帯では、秋田公立美術大学が主催するコミュニケーションアートプロジェクト「あそび×まなびのひろば 2025」が開催されていた。こちらは芸術を通して感性や表現力を養う「芸育」イベントで、森を舞台に「風と光」をテーマにした芸術体験イベントが開催され、出展者である秋田公立美術大学の学生と卒業生が、手掛けた、見て、触れて、感じることができる作品が森の中に点在し、子どもたちは自然の中でアートと触れ合いながら、創造的な遊びを体験した。


 また、秋は「食育」のイベントも全国各地で数多く開催される。


 例えば、11月2日には大阪市立こども文化センターで、デジタル工作プログラミング教室のキッズワークス(IoTワークス)が主催する「親子で『真っ赤な梅干づくり』に挑戦してみよう」が開催される。

「発酵マイスター/梅ソムリエ」の指導のもと、親子で一緒に梅干しを漬ける体験する。長期保存ができる梅干しは、日本人の知恵が詰まった食文化の一つ。しかし、近年は自宅で漬ける家庭はめっきり少なくなった。梅干しづくりを通して日本の食文化にふれる良い機会になることだろう。


 これら様々な「育」の取り組みは、子どもたちの個性と可能性を最大限に引き出すための重要な教育だ。その分野の専門家たちから受ける特別な授業は、たとえたった一日の経験でも、子どもたちの心や意識に鮮烈な影響を与えてくれることだろう。(編集担当:石井絢子)

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