2025年9月14日に総務省が公表した人口推計によると、65歳以上の高齢者は3619万人で、前年と比べて約5万人減少しているものの、日本の総人口に占める割合は0.1ポイント上がって、過去最高の29.4%となった事が分かった。これは、人口4千万人以上の38カ国の中で断トツの1位で、25.1%のイタリア、23.7%のドイツを大きく引き離している。
そんな中、蜂蜜やローヤルゼリーなどのミツバチ産品を主な原料にした健康食品や美容製品を取り扱う養蜂業大手の山田養蜂場も「シニアの健康意識調査2025」の調査結果を発表した。同社では、顧客の生活や健康意識の現状を知るため 2019 年から同調査を過去三回にわたって継続的に実施している。コロナ自粛明け初の調査となった今回は、全国の 30 歳以上男女 2861 名を対象に行われ、前回の調査結果と比較すると、大変興味深い調査結果が報告されている。
例えば、60 代以上の50%以上の人が、健康のために「規則正しい生活」や「栄養バランス」、「自分でできる運動」等を心掛けており、コロナ禍以前よりも運動を行う人が増加していることが分かった。
同社が知見を求めた専門家、医療法人社団 TLC 医療会 ブレインケアクリニック名誉院長であり、一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長の今野裕之氏によると、コロナ禍を経て認知症予防への意識が高まり、運動やコミュニケーションなど、認知症予防に役立つ生活習慣に積極的に取り組む人が増えてきたことで、認知症患者数の推計値は減少傾向にあるという。その一方で、コロナ禍以降、罹患後の認知機能低下や、集中力の低下や思考力の鈍化といったブレインフォグの症状を訴える人が若年層にも増えており、新たな社会的不安が増加しているという。
近年、ブレインケアという概念が浸透してきており、バランスの良い食事や適度な運動、睡眠の質の改善、趣味などによるストレスの軽減、瞑想、コミュニケーションの活性化、環境対策など、いわゆる「脳トレ」以外での認知機能対策への取組みも拡大している。
そんなブレインケアの一つとして「サプリメントの活用」があるが、同調査結果でも、認知機能対策としてのサプリメント飲用割合は、40~50 代で 7.9%、60 歳以上で 10.6%と、多くの人が早期に対策を講じている傾向も見られるようになってきた。
この結果を踏まえ、前述の今野氏は、DHA やイチョウ葉の認知症対策としての有用性は広く知られているものの、認知機能に関わる新たな素材として期待されているプロポリスなどの可能性については、まだ十分に周知されておらず、脳の健康を守るための正しい情報を専門家として広く伝えていきたいと述べている。
認知症になると、自分自身はもちろん、家族や周囲の人の生活にも大きな負担を強いることになりかねない。そんな不安がイライラや怒り、うつ状態、妄想などを引き起こしてしまい、認知症の引き金になってしまうこともあるという。だから、必要以上に不安に悩む必要はないが、大切な人たちとともに長寿を喜び、共に人生を楽しめるよう、40代、50代の内からブレインケアを心掛けるようにしたいものだ。「何をしたらよいかわからない」人は、まずはサプリメントなど、簡単に始められるものから日常習慣に取り入れてみてはいかがだろうか。(編集担当:藤原伊織)