近年、世界規模での環境意識の高まりを背景に、「アップサイクル」という概念が注目を集めている。廃棄物を原料として再利用する「リサイクル」とは異なり、アップサイクルは、廃棄するはずだったものに、デザインやアイデアを加えることで、元の製品よりも高い付加価値を持つ新たな製品へと生まれ変わらせる取り組みを指す。
例えば、清酒業界大手の白鶴酒造株式会社は、2022年から、酒造りの副産物である処理後活性炭を畜産用の飼料「サケ炭」にアップサイクルする取り組みを進めており、清酒製造業の廃棄物削減と畜産農家の課題解決を両立する新たなビジネスとして期待が高まっている。
活性炭は、清酒のろ過処理方法の一つとして全国の清酒製造業者で広く使用されており、処理後は大半が産業廃棄物として費用を払って処理されている。白鶴酒造の調べによると、その量は少なくとも年間1000トンにものぼるという。
同社では、処理後活性炭には清酒由来の様々な栄養が含まれていることや、活性炭の体内の不要物の吸着効果、さらに、炭は過去の研究でも畜産用の飼料として効果が明らかにされていながら価格面や牛の嗜好性によりあまり活用されていなかったことなどに着目し、2021年から、安価で栄養価の高い畜産用の飼料としてアップサイクルする研究を開始。兵庫県内の飼料会社や畜産農家の協力のもとで実証実験や研究を重ねた結果、処理後活性炭の牛への給餌に様々な特性を見出し、2022 年 12 月に兵庫県内の飼料会社と協力して「サケ炭」として飼料化に成功した。
サケ炭はアップサイクル品なので、一般的な活性炭に比べて安価な上、牛の栄養源である粗タンパク質を20%近く含有し栄養価が高い。しかも給与することで、子牛の腸の健康維持や牛体内の不要物の吸着効果、さらには牛の糞由来の悪臭を約9割も低減することができるという。近年、穀物価格の上昇等に伴って配合飼料価格が年々上昇しており、畜産農家の経営が圧迫されている。また、畜産業における糞由来の悪臭は周辺の生活環境への環境問題となる可能性があり、消臭剤など、対策にかかる費用も農家の大きな負担となっている。サケ炭は、こうした畜産農家の切実な課題の解決にもつながるものだ。
さらに白鶴酒造「サケ炭」の研究では、特許も取得している。
廃棄物を単なる「ゴミ」ではなく「価値ある資源」と捉え直し、異業種間がそれぞれ抱えるの課題をも同時に解決するアップサイクル。白鶴酒造の取り組みは、アップサイクルの可能性を示す好例であり、持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

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