12歳のタイ人少女が1か月に61人の男性を相手に都内のマッサージ店で性的接客を強いられる事件があった。国内で起きた人権侵害事件は国際的にも恥ずべき事だろう。
10日の衆議院予算委員会では、高市総理は立憲民主党・酒井なつみ議員とのやりとりで、児童買春・児童ポルノ禁止法改正に7年間取組んだ時の自らの考えを質されて「児童の性的搾取は児童の心身に重大な影響を及ぼす。それは将来にわたって残る影響。そして人権を著しく侵害する、極めて悪質な行為、断じて許されるものではないとの考えで取組んだ」と答弁した。
人身売買や性搾取が「著しく人権を侵害するもの」で「将来にわたり影響する行為である」ことは年齢に関わらず共通する。とりわけ、早期に解決を図るために、まず性を売る側より「買う側への罰則を創設すること」。また立憲が提出している「人身売買罪厳罰化法案」の実現により、犯罪抑止力を格段に上げることが重要だろう。
酒井議員は質疑で「先進国の中で日本は人身取引への罰則が軽く、米国務省からも処罰不十分と言われている」と紹介し「政府の人身取引対策推進会議が6年間開かれていない」として改善も求めた。酒井氏は人身売買で「昨年保護された被害者は66人、このうち日本人58人(88%)、18歳未満41人(62%)になっていた」と示した。
高市総理は「人身取引根絶に向け精一杯取組んでいく」と約し、会議についても「しっかり実会議を開かせていただく」と持ち回り会議で済まさないことを約した。
立憲の塩村あやか参院議員は法案提出時の会見で「人身売買がトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の重要な資金源になっている実態も見逃せない」と警鐘を鳴らし「最近摘発された性風俗店グループでは年間40億円もの売上があったと報じられている。厳罰化によって、こうした犯罪ビジネスの資金源を断ち切ることが不可欠」と提起した。
若年女性を支援する「コラボ」代表の仁藤夢乃さんは「買春者処罰とともに被害女性の非処罰化、性売買から抜け出すための支援も必要」と経済的な問題も大きく背景にあることを踏まえた対策を求めている。政府、与野党一緒に、こうした事案の再発対策を早急にとることを強く求めたい。
ちなみに立憲提出の刑法改正案では(1)人身買受けは現行の3月以上5年以下の拘禁刑を「6月以上7年以下」に(2)未成年者買受けは3月以上7年以下の拘禁刑を「6月以上10年以下」に。
(3)営利目的等人身買受け・人身売渡しは1年以上10年以下の拘禁刑を「2年以上15年以下」に。(4)所在国外移送目的人身売買は2年以上の有期拘禁刑を「3年以上」に。
また児童買春・児童ポルノ禁止法(8条1項)改正案では児童買春等目的人身売買を1年以上10年以下の拘禁刑を「2年以上15年以下」に、それぞれ厳罰化し、抑止力強化を目指している。(編集担当:森高龍二)
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